暮らしの手帖レシピ本で名高いのが、1972年に刊行された「おそうざいふう外国料理」です。
高価な本ですが、一流のシェフが監修し”憧れの”外国料理だった時代を感じます。
ヨーロッパから中華まで幅広い国の料理を家庭で作れるよう再現の高い本です。
今の日本は時間短縮の影響で、手軽に早く料理を提供することに価値が高いのですが、
「おそうざいふう外国料理」は今の時代と逆行している丁寧さ重視が際立つ1冊です。
1970年代は、食料は今ほど豊富ではなく料理に費やす時間は気にならない時代だったようです。
時代背景は異なりますが、それでも支持される、魅力ある理由を記事にしてみました。
本の影響~ドラマ・小説~
ドラマ
ドラマ『A Table~ノスタルジックな休日~』は、暮らしの手帖が監修していて「おそうざいふう外国料理」から
何品か再現されています。若い夫婦が食事にこだわる日常の生活を淡々と描いたドラマなのですが、「イタリアふう」料理が出てきたり、「ふう」と名付けるところに時代を感じます。
ドラマの主人公は食事にこだわりがありそうな夫婦。おそうざいふう外国料理を楽しんで手間暇かけていました。

小説
池波正太郎の『食卓の情景』に”家庭料理”というタイトルで紹介されています。
刊行にあたり再現性を高めるための現場の苦労があった一文があり、そのおかげで家庭料理のレベルが高くなったようです。お料理を作るのに慣れていない人に試作して再現できるかを極めている本なので、主婦に指示されたことでしょう。
庶民的な食材で作る「外国料理」
外国料理の食材は身近に手に入る庶民的な食材を代用してもよく、代用食材を教えてくれる記述が多いです。
マッシュルームの代わりにシイタケとか。
安価にできて豪華な料理を目指せるようにできています。
休日の時間で挑戦したくなるレシピ
『おそうざいふう外国料理』は所要時間を書いてくれないのが欠点です。発刊当時の日本は、食事を用意する時間は今よりも多かったと推測できます。共働き世帯が少なかったからでしょう。
料理を丁寧に作りたい。生活をのんびりと豊かにしたい、という想いは外国料理を読むだけで満たされる部分があります。下ごしらえが丁寧に記述されているので、失敗しづらいと思います。
動画レシピがなかった時代なので、細かな文章で再現性に努めているのがわかります。
時間の余裕があるときに挑戦したくなるレシピの数々です。
豪華な装丁で特別な本
『おそうざいふう外国料理』はカバーがついていて、ずっしりとした重い本です。
西洋料理88種類、中国料理77種類がのっています。あくまで「ふう」料理のようです。家庭料理にするため
「ふう」を目指していて、若者や子供が作れるようにという目線があります。
今の健康志向に反して、ラードが大活躍なレシピが多いのですが、現代に読み替えてアレンジして使えそうなのです。スパゲッティは「スパゲチ」、ミネストローネは「ミネストロン」と表記されていてクスっと微笑んでしまう記述に出会えるのは楽しみの一つです。
最後に
暮らしの手帖は試作を必ず行うことで有名ですが、不慣れな人ができるようにするという目線が隅々にいきわたっています。料理から外れますが、仕事のマニュアルもかくありたいなと思うことばかり。
動画レシピの手軽さはありませんが、読む・読みこなすことで身につける料理は長く記憶に残るはずです。
いまでも支持されるレシピの数々。
時間をかけることで気持ちを豊かにしたいとき、『おそうざいふう外国料理』を手にしてみてはいかがでしょうか。


